2016年 11月 16日
京都非公開文化財 京都ハリストス正教会~冷泉家
抜けるような秋の空に 柔らかな白亜の大聖堂。
おそらく新聞記事で読んでいなければ、その存在すら知らず 訪ねることはなかったと思われます ★。ロシアから移送された 聖書の世界を描いた美しいイコン(聖像)、イコノスタス(聖障)に、逢いにいってきました。
周囲に民家やマンションが立ち並ぶ中 高い位置に取られたステンドグラスを通して
赤や緑の柔らかな光が礼拝堂内に降りそそいでいました。見あげると 天井が弧を描いて美しかった。
普段、信者の方々の礼拝などで使われているそうですが 一般には初公開となるそうです。 歴史的にも非常に価値の高いロシア・ビザンティン様式の荘厳な聖堂を拝見する貴重な機会でした。本国ロシア(ソビエト)でも、当時の弾圧を思うと貴重な文化財が京都にのこされていることは意義があると伺いました。
教会を訪ねる前のことです。最寄駅の丸太町で下車し いつもの手書きのメモではなくスマホをたよりに。と、大通りを挟んでむこう 大きなお屋敷が目にとまりました。「なんて、素敵なお屋敷なんだろう。」 しかも京都御苑の前に。
えっ? 京都御苑?
目的の 京都ハリストス正教会とは正反対の方角ではないか。 結局、遠回りの末 教会にたどり着くという顛末でした。
旅から帰り あの時のお屋敷は一体なんだったのかと。憧れのハーフティンバー。圧倒されるような存在感。
3年前 ティンバー様式のデザインを集めていました。
当時、イメージを膨らませるために集めたハーフティンバー画像でしたが、その中に今回、京都で出逢った邸宅の画像があったことに気づいたのです。 その時は、どこのどなたの邸宅か知る由もなかったのでしたが。 調べてみたら ★旧下村邸(大丸ヴィラ)とのこと。 なんと、ヴォーリズ。
今回の旅、慣れないスマホ片手に歩いてみたら ものの見事に反対方向へ向かっていたというわけ。 そのおかげで、ヴォーリズの名建築に出逢えたのですから 迷うのも悪くない? です。 重森三玲の次は、ヴォーリズをみてごらん ということなのでしょうか。 旅で出逢う偶然には、ゾクゾクさせられます。
次に向かったのは「冷泉家」
公家のお屋敷です。 こちらでも、今出川で下車して反対方向へ歩き 相国寺に行ってしまいました(笑。 おかげさまで 同志社の銀杏並木を楽しめました。
ヴォーリズをめぐる旅、も いいなぁ ♪
冷泉家は大通りに面しており 今出川の交差点ですから かなりの交通量ですが 一歩中に入ると、喧騒がうそのように静かな時が流れていました。 高い土塀、というのはいいものですね。門をくぐると内と外、オンオフを切り替えるように そこで気分が切り替わります。
先々で 大学の古文化研究会の学生さんたちが解説してくださいました。歌会のために季節性を排除した牡丹唐草の唐紙が ことのほか美しかったなぁ。
印象的なことがありました。解説も一通りおわり、奥のお庭で絵ハガキなどを見ていた時のことでした。お庭の塀沿いに、ユニークな葉っぱの木がありまして どなたかが、「この木は何ですか」と お尋ねになりました。わたしはてっきり「桑」の仲間 ? かと思ったのですが。 「梶、です」 「七夕に贈りあう」「この葉の裏に詠まれた句や和歌を書いて ...」 と。
なんて、風雅なんでしょう❤
先日、山を歩いていましたら 冷泉家のお庭で見かけた梶の葉を、見つけました。今まで、目にしていてもそれと気づいていなかったのですね。諏訪神社の御神紋だということです。
あの時、お尋ねになった方に感謝。 だって、「梶」の葉の 七夕の歌会の ロマンティックなエピソードを知らずに通り過ぎたかもしれませんもの。