2019年 08月 06日
『キスリング展』 ~東京都庭園美術館
清々しいほどにお手入れのいきとどいた みどり濃き芝生。オブジェ。
こちらは朝香宮邸として1933年に建てられた アール・デコ様式の 美しい建造物を
広大な敷地丸ごと 東京都庭園美術館として 一般に公開しており
その室内に誘われ キスリングの名画を鑑賞しました。(7月上旬)
キスリング展
エコール・ド・パリの夢
東京都庭園美術館
2019.4.20-7.7
岡崎市美術博物館
2019.7.27-9.16
秋田県立美術館
2019.9.29-11.24
「序 キスリングとアール・デコの時代の絵画」
そして「エコール・ド・パリの主役」「セザンヌへの傾倒とキュビズムの影響」を
アール・デコ様式の建物で観賞する、という贅沢さ。
《ベル・ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)》
フランスの小説家コレットの娘を描いたこの作品は
(この洋服を着たベル・ガズーの写真もありました)
アーモンドのような瞳、鮮やかな色彩が印象的な1枚です。
比較的明るい一室の壁に掛けられた絵は 鑑賞者と対峙するかのような展示で
はっとさせられます。
クリムトやウィーンの同時代の展覧会を観たあとでしたので
エコール・ド・パリの夢、フランスの風はまた 優雅でロマンティック。
極彩色に彩られ どこか浮世離れしたようでもあります ...
1920年-1930年代 「モンパルナスのプリンス」と称されたキスリングの名画を
惜しみなく 手に取るように身近に感じられたのは
邸宅の一室一室に 誘われるようにめぐる、鑑賞スタイルにあるのかもしれません。
写真展示のコーナーにも 興味を惹かれました。
エコール・ド・パリの中心で、華やかなりし存在だったのだろうというのは
容易に想像されます。甘い雰囲気が 誰かに似ているのですが ...
ハリウッドの往年のスターのような。
キスリングに描いてもらいたい、と思う女性は たくさんいたのではないでしょうか。
なかでも目を惹いたのが おかっぱ頭の藤田嗣二との交流を示す写真。
リラックスした姿がかいま見え 親交の深さがうかがえます。
社交的な一面を、そこでもみることができました。
裕福なユダヤ人の家庭に生まれ 才能に恵まれ
しかし、二度の世界大戦を経験し 困難な時代にあって
アメリカへの亡命中も 創作活動は続き
画家としての成功も 数々の写真を観ながら(勿論、作品もですが)
人間的魅力によるところが大きかったのではと思いました。
2階、ベランダより芝庭を
↑の写真との対比。 芝庭から本館(旧朝香宮邸)を
新館では 1940年代「アメリカ亡命時代」「フランスへの帰還と南仏時代」へ。
ミモザの花の絵が続きます。 花言葉は 「優雅」「友情」「秘密の恋」など。
ブルーを背景にした ロマンティックな花の絵に、幸せな気持ちになりました。
鑑賞を終え カフェの順番を待っている間に
ミュージアムショップで素敵な商品を見つけました。
まったく、展覧会とは関係ないのですが。
「森を想う暮らし」が テーマで「森へ行く日」という名の素敵なデザイン。
これはまた、いつかご紹介してみたいです。
カフェ庭園、テラス席より。 館内は順番待ちの方々が ...
実は、東京都庭園美術館は従姉のおすすめスポットの一つでしたが
ふらりと入った カフェ庭園で何を食べるか、までは聞いていませんでした。
同じものをいただいていた、というのが(あとで知った) 笑えます。
「キッシュ」と「珈琲」を注文。 美味しかったですね ♪
実は、ケーキとどっちにしようか 迷ったが。
桔梗やカワラナデシコ、女郎花、鬼百合 ...
木立やゆらゆら揺れる野草をみているうちに。 山が恋しくなった瞬間です。
今年は 忙しさにかまけて 笹百合にも あえませんでした。
日本庭園 と 茶室 「光華」
築山と池を備えた回遊式庭園は しっとりとあじさいの季節
JR目黒駅からほど近く。こんなゆったりと広大で静かな場所があるんですね。
門を入ったところに 虫よけスプレーを置いてくださっていたのがほほえましかったです。
アール・デコのお屋敷、サロンで名画を鑑賞し 美しいお庭を眺めながら カフェタイム。
しかも、丁寧に淹れられた珈琲と、キッシュは 美味しかったし ...
小腹を満たしたところで お庭を散策。 これで本など持ってきていたらベンチに座って。
時間なんてあっという間にすぎていきます。
こころ豊かになれる、そんな時間でした。
■ 東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9